第2話|価値観が違っても、一緒に悩める人がいるということ

「みんな友達」のその先へ

📖 連載「「みんな友達」のその先へ」のお話です。最初の話から読みたい方は、こちらからどうぞ。

第1話|公園はみんなの場所。でも、ママ友付き合いには線引きも必要だった
子どもの公園遊びをきっかけに、どんどん広がっていくママ友付き合い。「誰が来てもいい」と思っていたはずが、気づけば少しずつ疲れていました。みんなの場所だからこそ、自分なりの線引きが必要だと気づくまでを綴ります。

前回、私は気づいた。
みんなの場所でも、自分なりの線引きがあっていい。

でも、ひとりで過ごしているわけではない。
隣には、気の合うママ友がいる。

その人とも、考え方が同じとは限らない。

違う者同士は、一緒にいられないのだろうか。
断るか、合わせるか。
どちらかしかないのだろうか。

「今日nちゃんと遊んでいいんでしょ!?」
元気に帰ってきた子ども達。
最近の第一声はいつもこれだ。

ここは、子ども達を迎えにきた駐車場。
事前に遊ぶ約束をしていたNさんの子ども(nちゃん)と手を繋いで走ってくる娘。
仲良くなったばかりのお友達に、「今日公園行く!」と声をかけに走る息子。
学校から解き放たれた子ども達は、とても生き生きしているように見える。

そんな子ども達とは裏腹に、ドキドキしている私とママ友Nさん。
(そんな大きな声で……。)
案の定、所々から聞こえる子ども達の「いいな」という声。
私たちはお互いの顔を見合わせた。

これから公園に行くことを知った子どもと保護者が近づいてくる。
「私たちもいいですか?」

私とママ友Nさんは、どちらともなく返事をする。
「ぜひ!一緒に遊びましょう!」

一見すると何も問題がないようにみえるこの光景。
しかし、うまくいくばかりではない。

ある日の、少し困った空気

ある日の放課後。
nちゃんがお友達のaちゃんと歩いてきた。
Nさんとaちゃんのおばあちゃんの所へ行き、何かを話している。

(今日も一緒に遊んでいいかの相談かな?)
Nさんとは事前に公園で遊ぶ約束をしていたが、公園遊びは誰でも参加OKのスタイル。
私は少し離れたところから、何気なく様子を見守っていた。

aちゃんは、娘とnちゃんと同じクラス。
お迎えに来るおばあちゃんの付き添いで、何度か一緒に遊んだことがある。
私は面識がなかったが、Nさんはaちゃんのママとも会ったことがあるようだった。

これまでの話や様子を見ていて、
(nちゃんとaちゃんは長い付き合いなんだろう。)
私はなんとなくそう感じていた。

…………。
どうしたんだろう。
なんだか……困ってる……?

しばらく様子を見ていたが、何やらいつもと様子が違う。
(行ってみるか。)

「こんにちは〜」
と会話に入った私に、Nさんが状況を話し始める。

aちゃんは遊びに行きたいと言っているが、おばあちゃんは付き添えないようだ。

私はそれなら仕方ないと、さらっと返事を返す。
「そっかそっか。aちゃんも遊びたいもんね。でも、お家の人がいないんじゃ、お互い不安だよね。天気がいい時は公園にいるから、またお家の人が一緒に来れる時にしようか?」

しかし、納得がいっていない様子のaちゃん。
それはそうだろう。
まだ2年生。
自分は帰ってお友達は遊んでいるなんて、悲しいやら悔しいやら。
「わかった」なんて素直に受け入れられるわけがない。

Nさんはそんなaちゃんの気持ちに寄り添っていたようだ。
自分の子どもが仲良くしているお友達の悲しい顔を見て、ほっとけなかったのだろう。
なるほど、話がまとまらないはずだ。

私としては、親の顔も分からない、おばあちゃんは付き添えない。
娘もそこまで親しくしている様子はない。
そんな状況に不安を感じていた。
何かあったら責任はとれない。

それぞれの、精一杯

冷たいかな、と思いつつも、次はおばあちゃんに伝える。
「預けるのは心配ですし、忙しい中でお迎えの時間も読めなくて大変ですよね。次回も遊ぶので、その時に是非遊びましょう。」
困った様子のおばあちゃん。
できれば孫の希望を叶えたいのだろう。
「そうなんですよね……。a、今度にしよう。今日は忙しいから。」

その言葉を聞いても、aちゃんは首を縦には振らない。
nちゃんが、Nさんに「遊びたがってるよ」と声をかけている。

Nさんは決意したように声を出した。
「じゃぁ、一緒に行く?良かったら連れて行きますよ。」
「いや、でも…」と言いつつおばあちゃんも決めたようだ。
「じゃぁ、すみません。お願いします。」

私は不安に感じつつも、特にとめることはしなかった。
(交流のあるNさんが決めたことだ。私も一緒に見守ればいい。)

後日、Nさんが話してくれたこと

無事にこの日の公園遊びを終えた後日。
私はNさんに声をかけられた。

「この間はごめんね。ちょっとあの時のことで話したくて。」
何かあったのかなと感じた私、
「大丈夫だよ。ほっとけない気持ちもわかるしね。みんなで楽しく過ごせて良かったよ。」
ありがとうとNさん。
表情は真剣だ。
「悲しそうな顔をみるとね、断れなくて。でも、あれは駄目だなって思ってさ。」
保護者とトラブルになったのかと私は不安になった。
「なんで?何か言われた?」
Nさんは首を横に振りながら否定した。
「公園行く前に少し家に寄ったんだけど大変で……。今まであまり交流がなかったからどんな子かちゃんとわかってなかったから。」
私は思わず声が出た。
「え?付き合い長いんじゃないの?」
「幼稚園は一緒だけど、2年生になってからだよ。お母さんは挨拶したことがあるだけ。」

Nさんとaちゃん親子の関係が思ったより浅い。
そんなこと、思いもしなかった。

Nさんは、aちゃんとnちゃんの気持ちをたくさん考えたのだろう。
「泣きそうな顔を見ているとどうしても断れなくて、nも気になるみたいでさ。
来たいって悲しそうな顔をしてるのに、なんで来ちゃダメなの?って。
私も、おばあちゃんの連絡先知ってるから大丈夫かなって、断りにくく感じちゃって。
nにどうして断ったのか、なんて言ったらいいかも、ぱっと思いつかなくて。」

子どもの気持ちを大切にしているNさんらしい。
「でも、公園に行く前に家に寄ったんだけど、良くなかった。
よく知らない子を家に入れるのはやらないほうがいいなって。
公園に行く支度をしながら、自分の子どもの事で手一杯になっちゃって。
お互い良くないなって。」

Nさんは続けた。
「どうしたら良かったんだろうね。」

違う考えを、持ち寄って

「そうだね。」
私は考えを巡らせながら返事をした。

私とNさんは、同じ場所にいて、同じ目的を持ちながら、私たち以外の人との距離に悩んでいた。
私は私なりの距離のとり方で、NさんはNさんらしい付き合い方で。

もしもそれを1人で続けていたら、お互い疲れ切ってしまっただろう。
所詮は、偶然同じ年の子どもがいる、ただそれだけの関係だ。
なんとなく距離ができて、それっきり……なんてこともあり得たかもしれない。

でも、たった一つの出来事が、私たちを繋いでくれた。

何が正解なのかわからない。
お互いの答えも違う。
でも、どうしたらいいんだろうねと一緒に悩むことができる。
そして、新しい答えを見つけられる。

違う考えを持ち寄って、前向きに過ごすことができる。
そんな相手に出会えたことに、今では感謝でいっぱいだ。

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